転職活動において、志望動機を書くことはもっとも難しい作業ではないでしょうか?
そもそも、志望動機とは、「なぜその企業を志望しているのか」を述べることです。
面接中は志望動機を深堀りされて、「なぜ他の企業ではなく、その企業でないとダメなのか?」といった質問に対して、自分の原体験の中から論理的に説明をして、面接官を納得させる必要があります。
誰が聞いても納得されるような志望動機が言えないと、あなたがどれだけスキルを持っていたとしても、転職活動の履歴書審査や面接では不合格になります。
そのため、志望動機を書くことは転職活動において最も大切なことであると言えます。
今回の記事は、この志望動機の書き方について、4つの方法を解説し、履歴書や面接の通過率を向上させることを目的としています。
- 転職活動で、最も大切な志望動機の書き方について解説します。
- 具体的には、志望動機を書くために必要な3つのこと(自己分析、キャリアパス、企業との相性)について解説します。
- 業界研究・企業研究をすることで、面接官を納得させるための情報収集をします。ツールはYou Tube、Facebook、LINE、企業HPを活用します。
今回は志望動機の書き方について解説して頂くために、転職活動に成功した三河乃風さんに記事を寄稿して頂きました。
現職は大手自動車サプライヤーで自動運転エンジニアとして活躍。その中で、ディープラーニングを用いた画像認識アルゴリズムの開発や自動車のデータの受授制御の設計〜開発までをご担当。
転職のきっかけは、『働いている中で、車両や機能の企画より上流工程である、企画やコンセプト立案に携わりたいと言う想い』が強くなったから。
それでは、よろしくお願いします。
業界研究・企業研究の目的
業界研究・企業研究とは、一般的に以下のような定義となります。
世の中にある業界の種類や特徴を知り、興味を感じ、自分が行きたいと思う業界を見つける
企業の特徴を理解し、自分との相性を見極め、志望動機で話すことを見つける
この言葉を深堀りすると、業界研究・企業研究をする理由は、「志望動機として、以下の3つの点を踏まえて、自分の言葉で語れるように情報取得することが大きな目的」です。
- 自己分析によって、自分の価値観、特徴、強みを整理
- 自分が描きたいキャリアパスを整理
- 自己分析、キャリアパスに合う企業を見つけて、なぜ自分と企業が合うのかを論理的に語るために整理
以下からは、上記3つについて解説していきます。
自己分析によって、自分の価値観、特徴、強みを整理
自己分析をすることは、志望動機を書くことに繋がります。
自己分析では、以下のことを整理します。
- 自分の価値観
- 自分の特徴
- 自分の強み
自分の価値観、特徴については、今まで自分が生きてきた中で、感情が大きく動いたイベントを思い出し、なぜ感情が大きく動いたのかを分析します。
例えば、「みんなで何か一つのものを作った時に、楽しかったので、チームで働くことが好きだとか、人と話すことが好きなので、一人で黙々と作業するよりも、人前に出て仕事をする方が自分に合っているとか」です。
自分の強みについては、社会人生活を通じて、周りよりも得意だと思うことを考えます。
自分の強みを見つけるヒントとしては、企業が求める人材から逆算して考えてみることです。
とは言っても、そんなの自分一人では分からないという人が多いと思います。
そういう人は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントは数多くの転職者を見てきた転職のプロが、あなたの転職活動を成功させるために一緒に走ってくれます。
自分が描きたいキャリアパスを整理
志望動機を書くためには、自分が将来描きたいキャリアパスをしっかりと整理する必要があります。
なぜなら、面接では、必ずと言って良いほどキャリアパスを質問されるからです。
自分が描きたいキャリアパスを面接で語り、「うちではそんなキャリアは歩めないよ」と思われては、試合終了です。
きちんと入社後にどのようなキャリアパスが描けるのか、転職エージェントを経由して、確認しておきましょう。
そもそも、自分のキャリアパスが分からないうちに転職活動を行うのは危険だと個人的には思います。
しっかりと自分のキャリアパスを考えましょう。
自己分析、キャリアパスに合う企業を見つけて、なぜ自分と企業が合うのかを論理的に語れるように整理
次に、自己分析、キャリアパスを考えたら、それぞれ自分に合う企業を見つけます。
これの方法は以下の業界研究・企業研究のやり方で詳しく述べていきます。
業界研究・企業研究のやり方4選
具体的な業界研究・企業研究のやり方として、転職者の方におすすめな方法は、以下の4つのツールを使うことです。
- 企業のHP
- You Tube
- LINE
企業のHPで情報収集する
求められる人物像を求人票やインタビュー記事から読み取る。
企業のホームページには、求人票や社長インタビュー記事、製品開発エンジニアのインタビュー記事などが掲載されています。
これらから求められている人物像を読み取りましょう。
求人票
求人票には、『どんな人物を求めているか』がはっきりと書かれています。
例えば、私が応募した求人の場合、以下のようなことが書かれていました。
- 様々な関係者と明るくやりとりできる、コミュニケーション力のある方
- 柔軟な考え方で、技術課題解決に取り組める方
このことから、この職種は『他部門や社外の関係会社とのやりとりが発生する』、『何か職場で提案や発想力が求められる』と読み取りました。
実際に面接で話を聞いていると、「上流工程をやってもらうことになるので、頻繁に外部窓口とのやりとりが発生する」、「職場でDX活動を進めているので、改善提案と効率化ツールの作成を行って欲しい」と言われました。
これは、読み通りでした。
求人票は隅から隅まで目を通して、暗記する勢いで読み込むことをおすすめします。なぜならば、さりげなく書いている一言でも、企業からの熱い想いが込められています。
社長インタビュー
次に社長インタビューです。
社長インタビューには、会社全体がどのような方向性に向かっていきたいのか、どのような人物が多く活躍しているかはっきりと提言されています。
私の志望企業の場合は、「独創性を最も大切にしている」と社長が提言されていました。
実際に製品やエンジニアの方を見ると、社内公募で募ったアイデアから製品が生まれたり、利益は一旦無視して自由な発想で他社にはない製品作りをしていました。まさに「独創性」です。
これを理解しているだけでも、面接にはかなり好印象を持たれました。
インタビュー記事
最後に製品開発エンジニアのインタビュー記事です。
企業HPを見ていて、意外と見逃しがちなのが『開発の裏話』です。
実は、ここに企業の特徴やこだわりがこれでもかと言うほど詰まっています。
例えば、製品を作る際に直面したエピソードやそれをいかに乗り越えたか、何にこだわった物作りをしているかが書いてあります。
私の場合は、志望企業が開発している製品機能の一つである車線維持システム(LKAS)を開発したエンジニアチームの記事を読みました。LKASは計算で車線の中央を割り出しているのですが、これがユーザの心地よい中央ではないとフィードバックを受けたそうです。そこでこのチームでは、機械学習を組み込みユーザーの心地よい中央に合わせるような仕様設計にしたそうです。
あくまで、『人間中心』がこの企業の考え方だそうです。
面接では、単に「ユーザーファーストな製品設計に携わりたい」と言うだけではなく、具体的なエピソード(調査内容)を交えて発言することで、より説得力が増します。
実際に製品開発エンジニアのインタビュー記事などを参考に裏話も語れるようになっていると、面接ではかなり好印象です。
You Tubeで情報収集する
製品を調査する(ユーザのレビューや開発の裏話)、自社製品の強みやこだわり、反対に足りない部分を理解する。
再生数を稼ぐために、You Tuberは自分の持っている知見や経験談を惜しみなく語ってくれます。転職活動でこれを利用しない手はありません。
You Tubeには必ずと言っていいほど、製品レビュー動画がアップされています。
例えば、私の場合は自動車業界での転職活動だったので、志望企業の製品(自動車)のレビュー動画を20個以上見ました。
自動車業界にはモータージャーナリストと呼ばれる人たちがいます。
彼らは、試乗会やイベントに積極的に参加して、開発エンジニアと直接話をしていました。その対談内容が惜しみなく動画になっていたり、ユーザ視点での正直な感想(良い点・悪い点)を話しています。
もちろん、素人の方のレビューも非常に参考になります。
さらに、他社製品のレビュー動画を見ることによって、志望企業と他社との比較ができました。
このメーカーの車は価格は安いが標準装備は最低限で、もう一方のメーカーは値段は少し高いが標準装備が充実している等の情報です。
私はこれらの動画を見ることによって、普通の人では知り得ない情報(開発の裏側にあるエピソードやこだわり等)や多くのユーザの声を吸収することができました。
そして、得た情報に自分の意見や考察を加えれば、その企業製品の改善点や企業の開発の製品作りの方向性を自分なりに語ることができます。
もちろん、分からない点もありました。
現役エンジニアの面接官と濃い対話もできるようになるのも、この企業研究の大きなメリットの一つです。
Facebookで情報収集する
実際に志望企業の中で働いている人がどんな人が多いのかを知る。
Facebookでは、結構パーソナルな情報を知ることができます。
プロフィール欄を見ると、現在勤めている会社や過去の職務遍歴、出身地や出身大学、居住地域などが書かれています。
私はこれらの情報を利用して、『自分の将来の同僚たちは、どんなキャリアを積んでいて、どんなことに興味を持ち働いているか?』を意識しながら、Facebookの検索窓から企業名で検索し、志望企業に勤めている方達の人物像をイメージしていました。
すると、私の場合は、以下のような感じで、勤めているエンジニアの雰囲気を掴むことができました。
- 大企業なのに意外と出身大学がバラバラで学歴フィルターが無さそうだな
- 転職者はやはり同業他社が多いな
- ダイビングやキャンプなどを趣味にしているアクティブな人たちが多いな
結果的に、面接でも「技術よりアイデアマンタイプのエンジニアが欲しい」と言われたので、私の職場の調査結果と一致していました。
実際に中で働いているエンジニアがどんな人・雰囲気なのかを知ることでそれにマッチした自分のエピソードや、アピールの際の言い回しを工夫するなど自分のパーソナルな部分を語る上での方向性に1本の軸を作ることができます。
1本の軸があることで、面接官に好印象を持ってもらうことができます。
LINEで情報収集する
入社してからのキャリアパスや業務内容を理解する。
LINEでは、実際に志望企業で働いている人に話を聞くツールとして利用します。
大学の友人や先輩・後輩にその企業に勤めている人はいないか思い出してみましょう。
一度、顔が広い友人に聞いてみても良いでしょう。
世界は意外と小さいもので、必ずと言っていいほど一人は知り合いが見つかるものです。
私の場合は、最終的に選考部署のエンジニアと話す機会がもらえて、面接で驚くほど具体的なキャリアパスや職務希望を伝えることができました。
ここでは、実際にその部署のエンジニアまでたどり着いた流れを説明していきます。
大学時代一番仲の良かった友人が顔が広いので、まずは一人企業に勤めている友人を紹介してもらいました。
職務内容は私の選考部署と大きく違ったものの、会社の雰囲気や給与などを教えてくれました。
特に、給与は面接で聞くのはご法度なので、こういう機会に聞くか、転職エージェントに聞くのが良いです。
またその友人も、私の志望部署と関わりのある同じ大学の先輩社員を紹介してくれて、その先輩が3人も私の志望部署のエンジニアを紹介してくれました。
ここまで3日と、驚くべき早さです。
合計5人のエンジニアと実際に話すことによって、入社後の3年後・5年後・10年後のキャリアや職務で自分が活躍できる点は何かを聴き込むことで、入社後、業務に従事している姿をイメージすることができました。
そして何より、「その企業が自分を雇って得られるメリットは何か」という視点で実際の面接では語ることができました。
おまけですが面接官によると、社内のエンジニアへの聞き込みをしたこと自体も高評価だったようです。
当然ですが、先輩方には入社後に必ずお礼をしようと思っています。
志望動機の書き方まとめ
ここまで、転職活動で最も大切な志望動機の書き方について解説します。
志望動機を書くためには以下について整理する必要があります。
- 自己分析によって、自分の価値観、特徴、強みを整理
- 自分が描きたいキャリアパスを整理
- 自己分析、キャリアパスに合う企業を見つけて、なぜ自分と企業が合うのかを論理的に語るために整理
これを整理するためには、業界研究・企業研究が必要です。
業界研究・企業研究の方法は、転職エージェントの協力を得たり、企業HPやYou Tube、Facebook、LINEから情報収集をします。
業界研究・企業研究は調べれば調べるだけ情報が出てきます。
他の人やその企業に勤めている人が知り得ない情報まで集めて、自分のものにしていきましょう。
私個人の意見ですが、業界研究・企業研究で内定確率の8割を占めていると思います。
素敵な志望動機を書いて、転職活動を成功させましょう!皆様の転職活動の成功を祈っています!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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他にもスキルアップやキャリアアップの役に立つ情報が満載です。他の記事も読んで、ゆっくりしていってね!
エンジニアにおすすめの転職エージェント
もしも、今の仕事内容や年収に不満があり、今のキャリアに不満足なら、早いうちに立て直す必要があります。
立て直す方法はたくさんありますが、手っ取り早いのは「転職」です。
転職のお供として使いたいのが、転職エージェントです。
私が実際に使って、良いと思った転職エージェントは以下の通りです。
詳しい内容は以下の記事でも解説しています。
マジメにキャリアのことを考えるエンジニアは少ないです。だから、キャリアについてマジメに考えるだけで、一歩差ができます。年を取ってから後悔しても遅いです。
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