はじめに
残念ながら、エンジニアの世界に憧れを持って、何とか厳しい面接や試験を突破して、晴れてエンジニアになったとしても、その後の道が必ず明るいとは限りません。
じゃあすぐ辞めるのかというと、それは嫌ですよね?
それならば、何とかして仕事を楽しくしたいものです。
その時は仕事が楽しいなんて思えなかったし、楽しくなるという未来が描けませんでした。
時は経ち、少しずつエンジニアとしてのキャリアを積み重ねた中で、技術に対する知識や経験が少しずつ身につき、仕事が少しずつ楽しくなってきました。
そんな中、ある程度キャリアを積んだ私に、若手社員が相談をしてくれました。
私は若手社員と話していく内に、「仕事が楽しくないと思う原因とその解決方法」に気付かされました。
今回はその中で感じたこと、気づいたことを記事にします。
- 仕事が楽しくない人
- チームの中で自分の居場所がないと感じている人
- 仕事が楽しくなるためのヒントが欲しい人
仕事は生きていく上で必須であり、楽しい方が良いに決まっています。
この記事が、誰か辛い人の助けになってくれれば幸いです。
若手社員から相談を受ける
ある日、私はある自分のチーム外の若手社員から相談を受けました。
お昼休み明けのため、少し眠い中で「なんだろう」と思い話を聞いてみると、こう言ったのです。
「なるほど」と思った。
プログラミングをやり始めた若手社員であれば、よく抱える悩みである。
周りの人は親切に教えてくれるけど、時間を割いてもらって悪いと思っている。
迷惑をかけていると感じており、それが辛いということだった。
そのため、まずはGoogleで検索する方法を教えて、Udemyとか書籍とか、自分が勉強して効果があったと思うものを一通り紹介した。
若手社員も「やってみます!」という力強い言葉をくれたので、その日の話は終わった。
その後もなかなか技術力が身につかなくて悩む
後日、また若手社員と話をする機会があったので、その後どうなったのか聞いてみた。
すると、こんな風に言っていた。
でも、自分で勉強をしてもやっぱり分からなくて、それで辛くなって辞めちゃいます。
まぁ、それもあるあるだよなと思った。
何かを独学で学ぶためには、最初の取っ掛かりがないと、途中でしんどくなって辞めてしまう。
それはITの世界も他の世界も同じだろう。
技術が分からないため、業務にも支障が出てきて、本人も周りも辛い思いをしている。
本人は「だから行動しないといけない」とは思っているものの、なかなか一人では行動が出来ない。
だから一人で勉強をしなくても良いように社内勉強会を開催して、その人が分からないことをみんなで教えてサポートする体制を取った。
今度こそ、ここでコツを掴んで、悩みを解消してくれると思った。
もう本当に仕事が辛くて、仕事を辞めたいと思っている
「若手社員の子が会社を辞めようかと思っているらしい」
後日、そんな話を聞いた。
「えっ?」と思った。
周りの人がその人のためにたくさんの時間を使い、サポートをして、少しずつでも成果が出てきていた。
順調に見えていたのに、何がその人を辛くさせているのか。
本当に分からなくなって、話を聞いてみた。
すると、こんなことを言っていた。
周りの人のサポートを受けているのに、自分に任された仕事が出来なくて、それが本当に申し訳なくて、辛い。
完全に自信が失くなって、自己肯定感が全くないように感じた。
周りの人は若手社員のことを思い、全力でサポートをしていた。
若手社員も皆の気持ちに応えようと、自分なりに頑張っていた。
だけど、仕事を進めていく中でどうしようもなく、若手社員の仕事を奪って、代わりにやってしまった。
この話の中に出てくる登場人物に悪人はいない。
では、何が若手社員の心を苦しめているのか。
それは「チームの中で自分の居場所がない」と感じたことだと思った。
なんで仕事が辛くなり、辞めたくなるのか
どんな時に仕事が辛く感じるのか。
それはチームや部署や自分が所属する組織の中で、「自分の居場所がない」と感じた時ではないだろうか。
「また周りの人に迷惑をかけてしまった」
「迷惑ばかりかけて、誰の役にも立てない。」
「自分はチームにいない方が良い」
居場所がないと感じて、自分はここにいてはいけないと感じて、自信や自己肯定感が失くなって、辛くなる。
だから自分がやっている仕事が嫌になって、視野が狭くなって、アンテナが立たず、情報が入ってきても頭に入ってこないし、処理も出来なくて、また辛くなる。
そんな辛いの無限ループ、絶対に嫌だし、しんどい。
絶対にこのループからは抜けなくてはならない。
では、どうやったら自分の居場所が見つかるのか?
チームの中で役割を持つ
なぜ役割を持つ必要があるのか
所属するチームの中で自分の居場所を確保するためには、「チームの中で役割を持つこと」が大切だと思う。
役割があることで、チームの役に立っていると感じられるからである。
では、どんな役割を持ったら良いのか?
最初の段階は今の自分にも出来て、無理なく続けられることが良いと思う。
チームの中で居場所がないと感じてしまっている状況を抜けて、自己肯定感を取り戻すことが第一優先であり、役割を持つためには継続することが必要だからである。
若手社員はまず最初にどんな役割を持てば良いのか
例えば、以下なんかどうだろうか?
チームの議事録を書く
- チームMTの議事録を書いて、皆に共有する。
- プロジェクターがあれば、それを投影しながら会議をする。
- 会話が迷子になってきたら議事録の内容から会話を整理する。
チームのムードメーカーになる
- チームの親睦を深めるために、懇親会を開催する。
- チームが明るくなるように、明るい話題を積極的に話す。
- 皆にしっかりと挨拶をする。
「雑用ではないか?」と感じるかも知れないが、最初はそれで良いと思っている。
大切なのは「誰かの役に立つこと」である。
役割を持ち、「誰かの役に立つ」ことが出来て、感謝されれば、自己肯定感が満たされる。
そのため続けていく内に、「あ、自分はこのチームにいていいんだ」と自然と思えてくる。
そう考えると、若手社員が議事録を書いたり、懇親会の幹事をやってりすることは、「自分の居場所を確保するためである」と考えると、私はしっくり来るような気がしている。
この話の登場人物である若手社員は、まず技術力以外のところで役割を持ち、チームの中で居場所を見つけることになった。
若手社員以外が気にすること
最初の段階で若手社員が雑用的な役割を果たしてくれている場合、先輩社員は出来るだけ温かく見守り、陰からサポートをして欲しいと願っている。
出来れば、あなたのやり方や価値観を押し付けすぎず、若手社員の主体性を育てて欲しい。
不手際があるとは思うが、怒らず、呆れず、やってくれていることには感謝するように心がけることが大切だと思う。
居場所がないと感じている人間は非常に脆い。
ここで強く否定されると、多分再起不能になる。
目的は居場所を作ることであるということを強く意識して、温かく見守って欲しいと願う。
最初の役割を得た後に
同じ役割を長い間独占してはいけない
もう少し進んだ話をしたいと思う。
未来の話になるが、若手社員が役割を得て、自分の居場所が確保出来た後について。
いつまでも今の役割をやってはいけない。
役割を果たしたなら、次の後輩にその役割を渡して、自分は新しい役割を探して担っていかないといけない。
なぜなら、そうしないと自分の成長が止まっていくから。
同じ役割をいつまでも保持したままでいると、マンネリ化を感じたり、自分の出来ることの幅が広がらなくなったりで、また辛くなる。
だからある程度役割を果たしたら、古い殻は脱ぎ捨てなければならない。
新しい役割を得たければ、チームを見ろ
では、どうやって新しい役割を見つけたら良いのか。
最初は自分の出来る範囲で役割を得たが、その後はチームのことを観察し、チームで足りていない役割を探していくべきだと思う。
チームの弱みで足りない部分を補ったり、チームの強みを強化するための役割を果たさなくてはならない。
その際、大切になるのはチームメンバーは何が得意で、何が不得意なのかということだ。
例えばあるエンジニアチームの中では、技術力が高くて、ガリガリとコーディングをしていくのは得意な人は多いけど、決まったことをドキュメントとして残していくことが苦手な人が多いとする。
そういう状況であれば、会議やメンバーとの会話の中で決まったことをドキュメントとして残して、チームの足場を固めていく役割を担うと良いと思う。
ここで大切なことは、技術に強いエンジニアがいても良いし、マネジメントに強いエンジニアがいても良いし、ユーザーのことをよく知っているビジネスに強いエンジニアがいても良いし、縁の下の力持ちとして、チームが仕事を進める上でやるべき作業を泥臭く拾っていくエンジニアがいても良い。
チームメンバーの多様化や異なる価値観を認めることで、強いチームになっていくのだと思う。
みんなの居場所がある優しい世界を作る
役割をどんどんと変えて、より自分が心地よい居場所を求めていくことが成長する上でとても大切な考え方であると思う。
そのために、今の自分に出来ることと、チームの状況をしっかりと観察して、棚卸しをしておくことが大切だと思う。
そして、チームをまとめる立場にいる人は自分の居場所がないと感じている人がいないかを観察しながら、もし居場所がない人がいれば、積極的に役割を持ってもらうためのサポートをしなくてはならない。
その際に気をつけるべきことは、自分の価値観を押し付けないことである。
正しいことであっても、その人の考え方や特性や、時期に合わないことであれば、それはその人を苦しめてしまい、更に居場所をなくしてしまう行為となる。
痛みの中で得たこの話が誰かの役に立つことを心から願います!